先生こんにちは。暑いのでちゃんとクーラーつけてくださいね。私はこの夏高校二年になりました。いえ、本当は春からだったんですが、入学してからすぐに三ヶ月ほど旅行をして来たんです。  先生の著書の中では「みみちゃんとみみ」が好きです。その中でみみちゃんは、自分の耳に聞こえることと正反対のことをして反抗していきますが、次第に、それは自分がしたいこととは違うんだと気付き、聞こえたことと自分の考えをあわせて答えを出すようになりました。すると他の人の素敵なところがよくわかってめでたしという内容です。先生にはわざわざ説明するまでもありませんが……。  私の母が子供の頃から読んでいて、そのまま私に引き継がれました。第三版のそれと、今売られてる第十版では絵も文も少しずつ変わっています。私は第三版が好きです。先生がこれを書いた当初の考えに近いでしょうし、はっきり物を言うみみちゃんが私は大好きです。  私の旅行の件ですが、ネパールに行って来たんです。春の私はまだ机上で、ネパールのネの字くらいしか分かっていませんでしたし、高校の三ヶ月は多くの人にとって重要な時期だと思います。学校で人間関係を築く方がいいと言う人、ネパールで冒険して来いという人。双方の言い分、私の気持ち、総合して決めました。とても楽しい日々を過ごしました。言葉では言い表せないほど、いえ、正しくは膨大すぎて便箋数枚では終わらないほどの経験と喜び、恐怖と知識を得ました。ホームステイ先の家族も素敵な人で、今度日本に来てくれるそうです。  ネパールのママが言ってました。「これも、これも美味しいけど、どっちが好きかはあなたが決めるのよ」って。ひとつひとつ自分で決めることの大切さ、難しさ。それをどの人も持っている尊さに気付いて、今も胸が震えます。  先生、お誕生日会は楽しみにしていてくださいね。とっておきがありますからね。  桃華